OS/390 V2R4(1997年)では、一部JES2コマンドの実行形式(構文)が大きく変更され、コマンド形式の新旧移行を支援するツールとして、JES2 Exit 5(HASX05C)がSYS1.SHASLINKデータセットに提供されました。
また、それと併せて次のような指定がJES2により行われ、Exit 5が自動的に活動化されました。
LOAD(HASX05C)
EXIT5 ROUTINES=(HASX5CTR)
【z/OS V1R2 JES2の変更点】
■2001年のz/OS V1R2以降では、JES2 Exit 5(HASX05C)がSYS1.SHASLINKデータセットから削除され、SYS1.SHASSAMP(HASX05C)メンバーとしてサンプル・コード(製品サポートの対象外)の扱いに変更されました。
※使用する際は、Exitモジュールの作成(導入)やJES2PARM定義(活動化)を独自に行う必要あり
※z/OS V1R7では、JES2ターゲット・ライブラリー名が、SHASLINK(PDS)からSHASLNKE(PDSE)に変更
【z/OS V2R2 JES2の新機能】
■z/OS V2R2 JES2(2015年)では、JES3からJES2への移行容易性を高めるため、JES2PARM INPUTDEF新規ステートメントを通じて、2つのパラメータが提供されました。
①JES3JECL=IGNORE|PROCESS
JES2環境で、JES3 JECLステートメントを処理するためのオプション(PROCESS)・・・ JES2PARM JECLDEF,JES3ステートメントにて、各JECLの処理方法を定義(PROCESS/WARN/FAIL/IGNORE)
②NULLJCL=IGNORE|EOF
JES2環境で、JES3 NULL JCLステートメント(//)挙動との互換性を維持するオプション(EOF)
【z/OS 3.1の変更点】
■JES2 Exit 5を導入・活動化した環境では、z/OS V2R2以降、$DINPUTDEFコマンド、$TINPUTDEFコマンド実行時に次のようなエラーが発生します。
(z/OS V2R5の事例) $DINPUTDEFコマンドが$DI(NPUTDEF)コマンドに変換されてしまう
■z/OS 3.1では、SYS1.SHASSAMP(HASX05C)メンバー(サンプル・コード)の見直しが行われ、$DINPUTDEF、$TINPUTDEFコマンドを変換対象外にするためのコーディング例が追加されました。
※同様な変更は、JES2 APAR OA66697(対象: z/OS V2R4、V2R5)でも提供(2024年9月)
https://www.ibm.com/support/pages/apar/OA66697
【考慮事項】
■z/OS V1R2 JES2以降、HASX05Cメンバーがサンプル・コードの扱いで、製品サポートの対象外である点は従来と変わりありません。
以上