従来、LLAアドレス空間は、省略時PPT(IEFSDPPT)にて「SYST」(システム・タスク)属性を持つため、STCサブシステム・タイプにおけるユーザー定義のクラシフィケーション・ルールで明示指定されない限り、SYSSTCサービス・クラスが割り当てられます。
※LLAアドレス空間にアサインされるSYSSTCサービス・クラスの由来は「PPT SYST」属性であり、STCサブシステム・タイプの省略時サービス・クラス(SYSSTC)ではありません
■D PPTコマンドの実行結果(z/OS V2R5)※z/OS V2R4、3.1も同様
一方、STCサブシステム・タイプのユーザー定義クラシフィケーション・ルールやRESETコマンドを通じて、LLAアドレス空間向けにSYSTEMサービス・クラスをアサインすることはできません。
※SYSTEMサービス・クラスで稼働させるには、HIPRI属性(高ディスパッチング優先順位)指定のASCREマクロにてアドレス空間を作成しますが、LLAアドレス空間はシステム起動時にSTARTコマンド(START LLA,SUB=MSTR,REUSASID=YES)経由で開始されるため、要件を満たしません ・・・ 参照: IRA703Iメッセージ、IWMRESETマクロの解説
■RESET LLA,SRVCLASS=SYSTEMコマンドの実行結果(z/OS V2R4)
【z/OS V2R5の変更点】
■z/OS V2R5以降、LLAアドレス空間は、STCサブシステム・タイプにおけるユーザー定義のクラシフィケーション・ルールと関係なく、一律SYSTEMサービス・クラスに切り替えて稼働するようになりました。
※マニュアル記載情報(z/OS MVS Initialization and Tuning Guide)
https://www.ibm.com/docs/en/zos/3.1.0?topic=lla-notes
※z/OS V2R4までは、ユーザー定義のクラシフィケーション・ルールでLLA向けの特定サービス・クラスをアサインして優先順位を下げることが可能なため、例えばLLAが必要な時にディスパッチされないなど、システムが適切な状態で稼働できない事態も想定されます
■LLA稼働時の省略時サービス・クラス(z/OS V2R4 & V2R5)※z/OS 3.1はV2R5と同様
■z/OS V2R5以降では、z/OS V2R4までと異なり、RESETコマンドによるLLAアドレス空間のサービス・クラス変更が実施できなくなりました。
※前述の通り、z/OS V2R4ではSYSTEMサービス・クラスへの変更不可
【SMFレコードからの考察】
■z/OS V2R5では、LLAアドレス空間の開始時(S LLA,SUB=MSTR,REUSASID=YESコマンド)、SMFタイプ90、サブタイプ30レコードが記録され、LLAのサービス・クラスがSYSSTCからSYSTEMに強制変更(リセット)されていることがわかります。
※この事象から推測すると、RESET LLA,SRVCLASS=SYSTEMコマンドに相当するIWMRESETマクロがLLAアドレス空間にて実行されている可能性があります
■通常、「サブタイプ」値を示すフィールドは、SMFヘッダー・レコードの「オフセット 22~23」としてマッピングされますが、SMFタイプ90レコードの場合、プロダクト・セクションのSMF90TIDフィールド(2バイト)に記録されています。
※PGM=IFASMFDP/IFASMFDL実行時のサブタイプ選択指定はサポートされず、また、z/OS V2R4新機能の「REPORTOPTS(SUBTYPE)」パラメータ指定時も、サブタイプ毎の分割レポートは作成できません
【考慮事項】
■例えば緊急対応などで実行したF LLA,REFRESHコマンドによるオンライン処理への悪影響を回避するため、z/OS V2R4までの場合は、ユーザー定義のクラシフィケーション・ルールを使用して、LLA向けに重要度の低いサービス・クラス(STC_LOWなど)をアサインすることが可能です。
■z/OS V2R5以降へ移行すると、そのような環境ではLLAアドレス空間に対して従来のサービス・クラス(STC_LOWなど)ではなく、一律SYSTEMサービス・クラスがアサインされるため、想定よりも高いディスパッチング優先順位で稼働していることを意識したオペレーションが必要になります。
※オンライン処理などへの悪影響を回避するため、F LLA,REFRESHコマンドの実行タイミングに配慮ください
以上