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#095【z/OS V2R5新機能・変更点】 IDCAMS DCOLLECTコマンドの「TIMEOUT(sec)」新規パラメータ

  

従来、IDCAMS DCOLLECTコマンド実行時に「NOVOLUMEINFO」パラメータ指定なしの場合、あるいは、「SMFタイプ19レコード」が記録対象になっているシステムでの「SMF SWITCH」処理(I SMF)などでは、LSPACEマクロによるボリューム関連情報の取得が行われるため、DASDボリュームのコンテンション発生状況(RESERVE/ENQ)に応じてLSPACE要求がタイムアウトする可能性があります。

【z/OS V2R3の新機能】 ※LSPACEマクロ関連
■z/OS V2R3では、LSPACEマクロに対して「TIMEOUT」新規パラメータが追加され、LSPACE要求が完了するまでの最大待ち時間(経過時間)を調整可能になりました。
※指定可能な値の範囲: 1秒~86400秒(24時間) ⇒ 無制限を意味するわけではない
※省略時値: 240秒
※LSPACE要求が「SYSVTOC」資源を確保するまでの時間も含む
※LSPACEマクロの「Version 2」パラメータ(PLISTVER=2)利用が前提

【z/OS V2R5の新機能】 ※IDCAMS DCOLLECTコマンド関連
■z/OS V2R5では、「NOVOLUMEINFO」パラメータ指定なしのIDCAMS DCOLLECTコマンド実行時に、LSPACE要求が完了するまでの最大待ち時間(経過時間)を指定するため、「TIMEOUT(sec)」新パラメータが登場しました。
※省略時値: 240秒 ・・・ 「1~86400」の範囲
■本来、「NOVOLUMEINFO」パラメータを明示指定して「V」レコードを取得しない場合、「TIMEOUT(sec)」新パラメータは無関係ですが、IDCAMS DCOLLECTコマンド実行時に、「NOVOLUMEINFO」、「TIMEOUT(sec)」パラメータを同時指定した場合も、エラー検知は行われていません。

【タイムアウト発生時の典型的なエラー状況】
■例えば、先行ジョブにて「SYSVTOC」資源がRESERVE/ENQ中のDASDボリュームに対して、IDCAMS DCOLLECTコマンドを「NOVOLUMEINFO」パラメータ指定なしで実行した場合、ボリューム・コンテンションによるタイムアウトが発生し、「CC04」で処理終了する可能性があります。
※作成された「ボリューム・レコード(V)」に、スペース関連情報は記録されない(不完全な「V」レコード)

【z/OS V2R5新機能の注意点】
■IDCAMS DCOLLECTコマンド実行時の「TIMEOUT(sec)」パラメータを、明示指定、省略時解釈によらず正しく機能させるには、DFSMS APAR OA63847の修正策が必要です。(2023年3月 PTFクローズ)
※DFSMS APAR OA62953/OA63847レベルの稼働検証結果

【z/OS V2R5移行上の考慮点】
■z/OS V2R3、V2R4では、IDCAMS DCOLLECTコマンドに対する「TIMEOUT(sec)」パラメータは提供されておらず、タイムアウト値に関するマニュアル記載もありません。
※実機検証の結果サマリー (z/OS V2R3、V2R4環境)

■z/OS V2R3、V2R4のDCOLLECTコマンドを、「TIMEOUT(sec)」パラメータ指定なし(省略時解釈)でz/OS V2R5 (APAR OA63847適用済)へ移行すると、ボリューム・コンテンションが「240秒」(4分)を超えて継続する場合の挙動が次のように変化します。
(z/OS V2R3、V2R4)    DCOLLECTコマンドは、コンテンションが解消するまで(最大「480秒」)稼働した後、「CC04」で終了
(z/OS V2R5)        DCOLLECTコマンドは、「240秒」(4分)でタイムアウトし、「CC04」で即終了


以上