従来、MVS 「DAE」(Dump Analysis and Elimination)機能を利用することで、SYS1.DAEデータセットに記録された「兆候レコード」と同一ストリングを持つ「SVCダンプ」、「SYSMDUMP」などを抑止することが可能です。
【「兆候レコード」の有効期限】
■「DAE」によるダンプ抑止機能では、「兆候レコード」の有効期限(抑止インターバル)が内部設定されており、その期間内に発生したダンプが抑止対象となります。
※内部設定された有効期限は、以前からPARMLIB(ADYSETxx)メンバーによる変更がサポートされておらず、z/OS V2R5の標準機能でも同様
■この有効期限は、2001年のAPAR OW51284 (FFDCの機能改善)を通じて、「180日」から「60日」に短縮されて以来、z/OS V2R5でも引き継がれています。
※有効期限の短縮化に伴い、ダンプ抑止によるPD効率低下への歯止め(RASの向上)が期待される一方、同一「兆候ストリング」によるダンプ取得の頻度が増加傾向
【「抑止インターバル」内でのダンプ取得】
■「兆候レコード」の有効期限(抑止インターバル)を待たず、同一「兆候ストリング」によるダンプ取得を行うには、SYS1.DAEデータセットに対するISPF EDITセッションにて「ADYUPDAT CLEANUP nnn」コマンドを実行し、記録済の「兆候レコード」から、指定された日数よりも古いエントリーを全て削除することが可能です。
※「DAE」機能が提供する「ADYUPDAT」 CLIST -- SYS1.SBLSCLI0(ADYUPDAT)
※省略時値(nnn): 2007年のAPAR OA20972を通じて、「180」から「60」に変更
※「ADYUPDAT CLEANUP nnn」コマンドの実行前後で、「DAE」機能の事前停止(SET DAE=01)、および再活動化(SET DAE=00)を実施
■その他、「IPCS TAKEDUMP」オプションを利用して、本来なら抑止されるべきダンプを次回取得することが可能です。
https://www.ibm.com/docs/en/zos/2.5.0?topic=set-generating-suppressed-dump
【新機能】
■APAR OA62568(PTF: 2022/06 CLOSE)
■対象リリース: z/OS V2R3、V2R4、V2R5
■PARMLIB(ADYSETxx)メンバーの新規パラメータ 「EXPIRE(nnn)」を利用して「兆候レコード」の有効期限(抑止インターバル)が指定(カスタマイズ)可能となり、「SET DAE=xx」コマンドにて反映できるようになりました。
※省略時値: 60 (従来と変わらず)
※指定可能な値の範囲: 1 ~ 180 ⇒ APAR OW51284 (2001年)で行われた機能変更前の値(180)に戻すことも可能
※例えば、「EXPIRE(1)」パラメータを明示指定した場合、同一の「兆候ストリング」は、翌日でもダンプ抑止せず
■「EXPIRE(2)」パラメータ指定時の挙動例(同一「兆候ストリング」の場合)
【関連情報】
■「SET DAE=xx」コマンド実行時は、応答メッセージADY012Iにて、PARMLIB(ADYSETxx)メンバーで有効化された「DAE」オプションの一覧が表示されます。
※PARMLIB(COMMNDxx)メンバーから「SET DAE=00」コマンド発行時のメッセージ出力例(新機能の適用前)
以上