従来、JES2の新しいチェックポイント・モードが登場する都度、資源サポート(ジョブ、アウトプット稼働数など)の更なる拡張性強化を図るため、JES2アドレス空間の「31ビット」私用域サイズが増加し、それに伴い、システム全体で利用可能な「共通域」の圧迫が発生しています。【JES2の「31ビット」私用域】
- JES2は、新旧のチェックポイント・モードを動的切り替え可能とするため、常に最新のチェックポイント・モードをサポートするための仮想記憶域構造で稼働します。その結果、z/OS V1R11 JES2 (「z11」モード新登場)、z/OS V2R2 JES2 (「z22」モード新登場)を境に、実際の稼働モードによらず、JES2の「31ビット」私用域に対する割り振り量が次のように増加しました。
(ご参考) 利用可能なチェックポイント・モードの変遷(z/OS V2R4まで)
※z/OS V2R4 JES2は、「z11」モードをサポートする最終リリースとなります(開発意向表明の発表済)
【新機能(z/OS V2R5 JES2)】
- 2021年7月27日に発表された「z/OS V2R5」では、JES2アドレス空間の「31ビット」私用域に対する「VSCR (Virtual Storage Constraint Relief)」新機能が盛り込まれています。
※JES2のチェックポイント構造を「64ビット」領域に作成、維持できるようなインフラ機能の拡張
※JES2スプール関連のTGM (Track Group Map)チェックポイント構造を、「31ビット」私用域から「64ビット」私用域へ移動
IBM z/OS V2.5: ハイブリッドクラウドと AI ビジネス・アプリケーションをサポートする革新的な開発の実現 日本 IBM のソフトウェア発表 JP21-0302 2021年7月27日
IBM JES2メモリー使用率の向上 JES2は、z/OS V2.5で特定のJES2チェックポイント構造について2GB境界より下の専用域メモリー所要量を減らす機能拡張も提供します。インフラストラクチャーの機能拡張により、2GB境界より上のストレージのJES2チェックポイント構造のサポートが可能になります。さらに、SPOOLトラック・グループ・マップ・チェックポイント構造が、2GB境界より下から2GB境界より上のストレージに移動して、JES2の2GB境界より下のストレージ使用量を削減するために提供されます。このサポートは、z/OS V2.4 (APAR OA61229適用)でも利用可能です。 |
- この新機能は、JES2 APAR OA61229を通じて、z/OS V2R4に対しても提供されます。z/OS V2R4のテスト環境では、該当PTFの適用前後で、JES2アドレス空間の「31ビット」私用域の割り振り量が「約50MB」減少したことを確認しました。(約830MB → 約780MB)
以上