従来、JES2稼働中に、PROCLIB (Static、Dynamic)へのメンバー追加などに伴う「新規エクステント」が取得された場合、該当プロシージャーの起動(S proc,SUB=JES2)、バッチジョブの実行(EXEC proc)は「I/Oエラー」発生を伴い失敗します。ただし、この「I/Oエラー」発生をトリガーとして、JES2によるPROCLIBデータセットのクローズ、オープン処理が行われるため、その時点で「新規エクステント」は認識され、その後の該当プロシージャー再起動、再実行は成功します。
「Static PROCLIB」環境での実行例(z/OS V2R4 JES2) ・・・ 「Dynamic PROCLIB」環境でも同様な挙動※CPAC.PROCLIBデータセットに対して「ZEALLOC1」を含む複数メンバーを追加した際、PROCLIBデータセットのエクステント数が、JES2始動時の「2」から「3」に増加※その状態で「S ZEALLOC1」コマンドを実行した場合、1回目は「I/Oエラー」発生を伴い起動失敗するが、2回目は起動成功【z/OS V2R4 JES2の新機能】※APAR OA57976: 標準機能
- 次のような機能を持つ、$PCNVTコマンド、$SCNVTコマンドが新しく提供されました。
※$PCNVTコマンド: 該当メンバーでのJES2変換(コンバージョン)処理を一時停止 ⇒ 現在の処理完了時点で、全てのPROCLIBデータセットをクローズ
※$SCNVTコマンド: 該当メンバーでのJES2変換(コンバージョン)処理を再開
※JES2稼働中に、PROCLIBデータセットへの大量メンバー追加に伴う「新規エクステント」の取得が懸念される場合、PROCLIB更新の前後で、$PCNVTコマンド、$SCNVTコマンドを実行して、PROCLIBデータセットのクローズ、オープン処理を行えば、従来のような「I/Oエラー」発生が回避可能
※$PCNVTコマンドを実行しておけば、JES2コンバージョン処理への悪影響を懸念することなく、PROCLIBデータセットの「圧縮」(PGM=IEBCOPY)が安全に実施可能
「Static PROCLIB」環境での実行例(z/OS V2R4 JES2)※$PCNVTコマンド → PROCLIB更新(「新規エクステント」の取得) → $SCNVTコマンド(「新規エクステント」の認識) → プロシージャーの起動成功(「I/Oエラー」未発生)【考慮事項】
- z/OS V2R4 JES2の新機能($PCNVT、$SCNVTコマンド)は「単一メンバー」スコープのため、MAS構成の環境では各メンバーで実行する必要があります。
- $PCNVTコマンドの実行後、$SCNVTコマンドを実行するまでは、新たなバッチジョブ、開始タスク、TSO/Eログオンが「コンバージョン」待ち状態となり、稼働することができません。
- TSO/Eログオンの場合、「ログオン・タイムアウト」(z/OS V2R4新機能: 省略時値は5分)には影響を受けません。
※パスワード等の入力を完了し、「*LOGON*」状態を抜けた後(メッセージ IKJ56455I LOGON IN PROGRESS出力後)に待ち状態
以上