皆さんこんにちは。IBM Data PlatformでデータサイエンスTech Salesをしている山下です。
このリレー連載ブログは第一線で活躍するデータ分析者に、データ活用を進める上で忘れられない教訓をインタビュー形式で伺い、これからデータ分析に取り組む皆様に参考にしていただくことを目的にしています。
今回インタビューをお願いしたデータ分析者は
株式会社朝日新聞社でデータソリューション部に所属する木村様にインタビューをお願いしました。
木村 慎太郎 様
株式会社朝日新聞社
メディア事業本部
データソリューション部
データマネジメント担当次長
-日頃のデータ活用業務について教えてください
私はメディア事業本部データソリューション部で、データ基盤に格納された会員データやメディア閲読データなどを横断的に管理しながら、各事業部の意思決定をデータで支える役割を担っています。
日常業務は、事業部からの非定型の分析依頼対応や、KPIダッシュボードの管理、CRM施策改善などが中心です。
これらのうち、非定型の分析依頼対応は分析結果をレポートに落とすだけでは価値が生まれません。事業部と対話を重ね、ネクストアクションに落とし込める形で示唆を提示するところまでが、私たちデータ分析者の仕事だと考えています。
-データ活用業務で味わった苦い経験を教えてください
苦い経験として強く残っているのは、「正しい分析をしたのに使われなかった」ケースです。
統計的には妥当で、分析手法としても筋の良い結果を提示したにもかかわらず、事業部側のアクションにはつながりませんでした。原因を振り返ると、分析テーマの設定段階で事業部側とのすり合わせが不十分だったこと、そしてアウトプットが分析結果の説明に終始し、意思決定の材料やネクストアクションに繋がる結論まで示せていなかったことにありました。
そもそもの事業部のあるべき姿や分析依頼に至った背景、初期仮説といった前提条件を十分に理解しないまま進めた結果、「難しいが、結局何をすればいいのかわからない」という印象を与えてしまったのです。
-その苦い経験から得られた教訓はなんでしょうか
この経験から得た最大の教訓は、「データ分析の価値は分析前に八割決まる」ということです。
解くべき問いをどう定義するのか、対象とするデータの粒度や期間は妥当か、誰が分析結果を活用するのか。これらを事前に言語化し、合意した上で分析に入ることが不可欠です。また、個人的な意見になりますが、分析ツールを使うほど、分析者側がわかっているつもりに陥りがちになります。
専門性を武器にする一方で、相手の理解度に合わせて結果を解釈し、ストーリーとして伝える姿勢は欠かせません。分析力と同じくらい、コミュニケーション力やドキュメント作成力が重要だと痛感しました。
-これからのデータ活用領域でのチャレンジについて教えてください
これからのチャレンジは、データ活用を「一部の専門家の仕事」から「組織の当たり前」に変えていくことです。
生成AIのビジネス実装がより一層進展し、分析プロセスそのものは今後さらに自動化されていくだろうと想定しています。だからこそ、分析者には「何を問うべきか」「結果をどう解釈し、どう使うか」という課題設定力やデータ解釈力がより強く求められます。
言わずもがなこれらの能力はこれまでも必要とされてきた能力ですからさらに磨きをかける必要があるということです。これからもデータと人、事業をつなぐブリッジ役としての価値を磨いていきたいと考えています。
インタビューのお礼と感想
木村様、非常に興味深いお話をいただきありがとうございます。ぜひこれからも当コミュニティにお力をお貸しくださいませ。
さて皆様、今回の内容はいかがでしたでしょうか。
「データ分析の価値は分析前に八割決まる」という言葉は、すでに実務経験のある方には強く共感いただけるポイントでしょうし、これからデータ活用に取り組む方にもぜひ押さえておいてほしい本質だと感じています。
2026年3月、IBMはAIエージェントを基盤としたビジネス向け開発支援ツール「IBM Bob」をリリースする予定です。これにより、データ活用のプロセスは大きくゲームチェンジすると予想されています。
しかし今回のインタビューを通じて、最終的に人や組織を動かすのは、やはり人間が生み出す「問い」と「対話」である――その重要性を改めて実感しました。
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山下 研一
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部 watsonx事業部
Data & AI 第三テクニカルセールス