皆さんこんにちは。IBM Data PlatformでデータサイエンスTech Salesをしている斉藤明日香です。
このリレー連載ブログは第一線で活躍するデータ分析者に、データ活用を進める上で忘れられない教訓をインタビュー形式で伺い、これからデータ分析に取り組む皆様に参考にしていただくことを目的にしています。
今回インタビューをお願いしたデータ分析者は
花王株式会社でデジタル戦略部門に所属する若月様にインタビューをお願いしました。
若月 一生 様
花王株式会社
デジタル戦略部門
DXソリューションズセンター
SCM DX共創部
デジタルイノベーションプロジェクト
-日頃のデータ活用業務について教えてください
現在、デジタル戦略部門に所属しており、サプライチェーン領域における物流DXを推進しています。
花王グループでは全国の物流倉庫を自社で運営しており、工場からお客様へお届けするまでに渡る多くの物流データを所持しています。
これらのデータを分析したり、シミュレーションや数理最適化などを活用して業務効率化を進めています。具体的には、顧客・要因別の物流コスト解析、倉庫内ロケーションの最適化、勤務シフト最適化などによるコスト削減を実現しています。
また、単にデータを分析するだけでなく、そこから得られた知見を組み込んだシステムを開発したり、業務プロセスの見直しといったところまで踏み込み、現場支援やマネジメント層の意思決定支援を行っています。
加えて、関係部門との連携強化を通じて、継続的な改善と定着化を図っています。
-データ活用業務で味わった苦い経験を教えてください
倉庫内のロケーション(保管場所)を最適化するプロジェクトを進めたときの話です。物流作業の効率を高めるには適切なロケーション管理が必要です。現場では、従来ベテラン担当者が日々経験則でロケーションを見直しており、その業務は属人化していました。
「最適化すれば効率化できる」と考えてアルゴリズムの考案を進めましたが、実際に現場で使ってもらうと受け入れられませんでした。普段は経験豊富な担当者が、その日の作業状況に合わせて臨機応変にロケーションを見直しており、データだけで決めた案は現場の細かな事情に合わなかったためです。
-その苦い経験から得られた教訓はなんでしょうか
現場の業務プロセスを理解することです。
データや理屈だけで最適解を出しても、現場のやり方や忙しさと合わなければ実務には根付かないと痛感しました。例えば、ロケーション変更はメイン業務である出荷作業が落ち着いてから行うため、忙しい日は作業に使える時間が限られます。以降は、現場担当者へのヒアリングを重ね、作業時間や手順といった現実の制約条件を取り入れた最適化アルゴリズムの設計を行い、パイロット運用による検証と改善サイクルを徹底しました。
-これからのデータ活用領域でのチャレンジについて教えてください
この数年で物流を取り巻く環境は大きく変わり、不確実性が高まっています。今後は、複数の未来シナリオを比較検討し、最適な物流戦略を選択できるような仕組みづくりが重要だと考えています。そのために必要なのは、データ基盤の整備やデータ品質の向上、生成AIといった最新技術の導入、そしてビジネスサイドとの密な連携です。加えて、導入効果を測る評価指標やガバナンス体制の整備、段階的なパイロット運用による定着化も欠かせません。これらに取り組みながら、データ活用の幅を広げてビジネスの競争優位性を高めていきたいと考えています。
インタビューのお礼と感想
若月様、非常に興味深いお話をいただきありがとうございます。ぜひこれからも当コミュニティにお力をお貸しくださいませ。
さて皆様、いかがでしたでしょうか?
データや理屈だけで最適解を出しても現場のやり方や忙しさと合わなければ実務には根付かないという若月様のご経験から得られたお言葉は、私たちデータ分析者共通の教訓だと深く感じ入りました。私自身、現場の業務プロセスの理解というビジネス力があって初めてデータ分析が生かされるということを改めて思い起こしたインタビューでした。
2026年は不定期で、データ分析者の教訓を掲載してまいります。どうぞお楽しみにおまちくださいませ。
→SPSS Modelerの詳細についてはこちら
→これまでのSPSS Modelerブログ連載のバックナンバーはこちらから
→SPSS Modelerノードリファレンス(機能解説)はこちらから
→ SPSS Modeler 逆引きストリーム集(データ加工)

斉藤 明日香
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部 データ・AI・オートメーション事業部
IBM Data Platform テクニカルセールス